2001年、携帯電話での迷惑メールの蔓延は社会問題となりました。しかし、その迷惑メールも携帯電話事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)の努力により、現在ではほぼ解消されています。
通称「スパム(spam)」と呼ばれる迷惑メールは、米国では社会問題化していますが、日本においては前述した携帯電話における事例を除くと特に目立ったものは無く、あまり大きな問題として捉えられていないというのが実情です。そのせいか、日本における迷惑メール対策は米国に比較して大きく遅れています。
迷惑メールの被害は、コンピュータウィルスの感染や、フィッシングや架空請求といった詐欺にとどまりません。現在のメールの仕組みでは発信者を偽称することは容易ですから、発信者を示す“Fromアドレス”で自組織で使っているドメイン名を使われると自組織のメールサーバに大量のエラーが返ってくるばかりでなく、本来は発生するはずのない迷惑メールを受け取った人からのクレームに対応しなければいけないという事態になりかねません。時として、被害者ではなく加害者扱いされてしまうかもしれないのです。下手をすると、長年築き上げてきたブランドの失墜という事態まで考慮しなければいけなくなるかもしれません。
また、別の面からの指摘として、きちんとした迷惑メール対策を取らないことにより、迷惑メール対策を積極的に進める米国の企業や組織とのメールのやりとりに支障が出る可能性があります。つまり、迷惑メール対策がきちんとされていないドメイン名からのメールはチェックされ、受け取る人に対して危険性を示す警告フラグが付与されたり、最悪の場合は破棄されてしまうかもしれないということです。こうなると、メールをビジネスで使用することはもとより、確実な通信手段として使うことができなくなります。
少し驚かすようなことを述べましたが、いまや迷惑メール対策を取るコストは組織にとって欠かせないもののひとつだということです。現在ではISPを中心に迷惑メール対策が進められていますが、企業や大学、公的組織においても行うべきものです。
迷惑メール対策の技術的な面は本サイトで紹介していきますので、技術者の方にその対応を検討していただけるようよろしくご検討ください。