■ オプトインの合意の保存に関して、特商法には「健全な運営をしている場合に例外」とありますが、特電法でも同様の例外はありますか?
特商法の法律や省令、ガイドラインには、「健全な運営をしている場合に例外」として明示している箇所はないと思いますが、記録の保存方法について定めた省令11条の五、2号但書部分「ただし、販売業者又は役務提供事業者が、当該承諾を得、又は請求を受けるために定型的な内容を表示しており、かつ、当該承諾を得、又は請求を受けたときに当該承諾又は請求の内容に係る情報を一覧性のある書面等として正確に編集する方法を用いている場合であつて、当該定型的な内容の表示において、当該電磁的方法による電磁的記録の送信、当該書面への記入その他の行為が当該相手方に通信販売電子メール広告をすることを承諾し、又は請求するものであることを容易に認識できるよう表示している場合には、当該承諾を得、又は請求を受けるために表示した定型的な内容を示す書面等及び当該内容の表示がされた時期を示す書面等。」ということであれば、同様の規定は特電法の省令5条2号ハに該当し、総務省のガイドラインでは「ウェブサイトを通じて通信文を伝達することにより同意を取得した場合 当該通信文のうち定型的な部分(同意の取得に際して示す当該ウェブサイトの画面構成)」(10ページ)でよいとしています。
ただし、実際には何をもって”健全”であるかを定義しにくいため、”健全であるか否か”は具体的な基準にはなりえません。したがって、健全であるか否かで保存に関する区別は設けられていないと考えるようにしてください。
■ 「何らかの広告メールを送ります」という同意を取って、送る内容はさまざまであるという形態は認められるのでしょうか?
総務省のガイドラインでは、「同意の範囲について求められているのは、特定電子メールの「送信をすること」であり、送信する電子メールの種類や内容まで特定して同意をとることまでは、法律上の義務としては求められていない。」(3ページ)としていますが、適正な同意の判断基準として「通常の人間であれば広告・宣伝メールの送信が行われることが認識されるような形で説明等が行われていること」と「賛成の意思表示があったと言えること」とされています。このことから、利用者が同意したか認識しているかが重要になります。「容易に認識できるよう表示していないこと」については、経済産業省もガイドラインを公開していますので、ご参照ください。
■ 既存の顧客に新たなサービスの案内メールを送ることは違反になりますか?
既存の顧客とどのような取引関係にあるか、どのような合意を結んでいるかに依存します。
■ 合併や分社化したときに、それまで持っていたメールリストはどのように扱えばいいのでしょうか? 継続性や正当性といった観点を含めて教えてください。
合併の例は総務省のガイドラインにあります。法律上は、事業の継続性があれば許容されますが、合併があったことをユーザーに伝えてオプトインなりオプトアウトするなりを選択できるようにしてください。脱法行為(みせかけの事業譲渡とか)があれば、取り締まり対象となります。分社化の場合も合併と同様に、存続会社や事業の継続性といった点に基づきます。
■ ある時点から、送信するメールの内容をがらっと変えることは大丈夫でしょうか?
変化の程度にもよると思いますが、基本的には、受信者の同意の範囲であればということになります。
■ ソフトウェア購入者にバージョンアップのお知らせや、他の商品のお知らせを送ることは違反になりますか?
それがユーザーサポートなのか、広告・宣伝なのか、どのような合意を結んでいるかに依存します。単純にユーザーサポートであれば規制外ですが、広告・宣伝が入っている場合には広告・宣伝メールとみなされる場合があります。
■ 製薬会社が医師に送る医薬品のような情報などはどのような扱いになるのでしょうか?
この場合は、製薬会社と医師が取引関係にあると考えれば規制対象とはなりません。企業間、または企業と取引関係がある顧客などの場合は、相互の関係で判断することになります。